訪問介護事業所が一般乗用旅客自動車運送事業を許可申請することは、慢性的な人手不足にある中、人材確保が難しい。また、二種免許を所持している者が必要なのでヘルパーさんを自動車教習所へ通わせる事業所もあり、移動サービスを運営するには不利益である。
『訪問介護事業所が、既に開業している介護タクシー事業者に輸送サービスを委託できないものか』と思いついた。しかし、道路運送法に抵触する恐れがあるので詳しく調べてみました。
まず、国土交通省(地方運輸局)の陸上交通課に問合せをしてみることに…
地方運輸局の見解
と介護タクシー(一般乗用旅客自動車運送事業【第4条許可】)を開業する者として電話で問いてみた。
上司から答えが返ってきたのか1分も経過しない間に「大丈夫です、可能ですよ」とのことであった。
後に、(電話だけで回答を得て大丈夫か…文面にも残しておかないと 不安だなー、)本省に聞いてみよう。
国土交通省へ照会書を提出
国土交通省のサイトから照会書を提出する手続をしてみた…こちらの記事を参照ください「新しいビジネスを始める前に確認しておきたい法令」
しかし国土交通省に提出窓口は設置されているが、記載されているメールアドレスに送っても弾かれる(古いメルアドであったらしい)。電話で問い合わせをしたが担当者不在という理由で取り次いでもらえませんでした。
照会書は下記の内容です。
要約すると・・・
A(一般乗用旅客自動車運送事業「介護タクシー事業者」)と全く別の運営会社であるB(訪問介護事業者もしくは居宅介護事業者)と移動サービスを行う委託契約を締結することが可能か?
B(訪問介護事業者もしくは居宅介護事業者)は第78条第3項の訪問介護事業所の訪問介護員等による自家用自動車の有償運送の許可申請し、利用者の移動サービスを行うことができるのか?
という内容なのである。
上記の照会書を所管である地方運輸局に提出、5月8日に受理してもらった。
その後、同月27日に本省の担当者O氏から電話連絡があった・・・
国土交通省からの回答
検索すると下記の通達文がアップされていた。
その通達文のローマ数字Ⅱの部分
Ⅱ.訪問介護事業所の訪問介護員等による自家用自動車の有償運送の許可
訪問介護事業所又は居宅介護事業所(以下「訪問介護事業所等」という。)の指定を受けた一般乗用旅客自動車運送事業者(特定旅客自動車運送事業者を含む。以下同じ。) との契約に基づき訪問介護サービスを提供する訪問介護員若しくは居宅介護従業者又は 介護福祉士(以下「訪問介護員等」という。)が、その使用権原を有する自家用自動車 を使用して要介護者等を輸送する有償運送に係る法第78条第3号の規定に基づく許可 については、次のとおり取り扱うものとする。
「一般乗用旅客自動車運送事業 – 国土交通省」( 国自旅第169号平成18年 9月25日 国自旅第192号一部改正 平成21年11月25日)
http://www.mlit.go.jp/common/000111478.pdf より引用
訪問介護事業所(又は居宅介護事業所)の指定を受けた者が、一般乗用旅客自動車運送事業者である。
上記の条件で「訪問介護事業所が一般乗用(若しくは特定)旅客自動車運送事業者と訪問介護員とが契約を取り交わして第78条のぶら下がりヘルパーとして運行ができる」とされている。
結果
冒頭の『訪問介護事業所が、既に開業している介護タクシー事業者に輸送サービスを委託できないものか』 という私の考えは、法的に✖である。
訪問介護(居宅介護)事業所が介護タクシーの許可を申請するが正しい手順である。
他社の介護タクシー事業者と外部委託契約を結んで、介護保険報酬や障害福祉サービスの報酬をいただく事はできませんので、くれぐれもご注意ください。