年1回、「集団指導」という名で介護保険事業者にむけて介護保険制度の改正内容や実地指導(監査)での指導事項について等の講習会を各地域の行政機関(高齢福祉課など)が主催・開催しています。
実施指導における指導が多くあった事例
赤枠の「通所介護計画書の作成…管理者以外の従業者で行われている」と指摘・指導されています。
管理者以外が計画書を作成したら…ダメ?
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(通所介護)の第九十九条を見てみましょう。 引用サイト→電子政府窓口e-Gov
指定通所介護事業所の管理者は、利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて、機能訓練等の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した通所介護計画を作成しなければならない。
2 通所介護計画は、既に居宅サービス計画が作成されている場合は、当該居宅サービス計画の内容に沿って作成しなければならない。
3 指定通所介護事業所の管理者は、通所介護計画の作成に当たっては、その内容について利用者又はその家族に対して説明し、利用者の同意を得なければならない。
4 指定通所介護事業所の管理者は、通所介護計画を作成した際には、当該通所介護計画を利用者に交付しなければならない。
5 通所介護従業者は、それぞれの利用者について、通所介護計画に従ったサービスの実施状況及び目標の達成状況の記録を行う。
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(通所介護)の第九十九条 より
先のO県N市が提示されているのは、法令通りの内容と言えます。
それでは、通所介護(デイサービス)の管理者になれる資格要件を確認してみましょう。
管理者になれる資格要件は…
「管理者の資格要件:なし」ということは、介護関連の資格が無くて通所介護計画書を作成していることになります。
※一部の地域では「管理業務を行うために必要な知識等を有すること」と指導している行政もありますが、明確な介護関連資格の有無は掲げられていません。
生活相談員の資格要件は
一方、デイサービスの生活相談員の資格要件は、社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉主事、精神保健福祉士等ですが、地域によっては看護師、准看護師、介護職員実務者研修または、旧介護職員基礎研修課程修了者で介護サービス事業所等に介護職員等として2年以上勤務した経験のある者を資格要件として掲げている地域もあります。
先の第九十九条の文面から通所介護計画書は「管理者以外は作成できない」と解釈されますが・・・ その先から私の意見であります。
マイオピニオン
通所利用者の通所介護計画書を無資格者(全ての管理者が無資格では無く生活相談員と兼務されている方も多くいます)が作成するのはいかがなものかと思います。法律は解釈の違いで目的が逸れてしまうこともあるでしょう。利用者の身体・精神状態などを一番把握している生活相談員が主となり、関係者(看護師、機能訓練指導員、介護職)と介護介護計画書を共同で作成するのが良いかと思います。
ある地域の行政機関では・・・
「通所介護計画をサービスの提供に係る従業者と共同で作成していない」と管理者だけが作成することを指摘、指導している行政機関もあります。
指定居宅サービス事業所が混乱しないよう、各地域の介護福祉機関は法令の解釈を柔軟に捉えてほしいと願います。
余談
介護職人手不足の解消策として、外国人を雇用する考えのようですが、カルチャー、言語の違いで対利用者、職員間のコミュニケーションが難しくなる。日本国に不慣れな外国人職員に対して先輩職員がフォローする場面もでてくるだろうし、さらに現場の負担が多くなると思われます。
介護従業者の業務は多岐にわたります。利用者のお世話、介助全般はもちろんのこと、デスクワークもあります。業務内容は、アセスメント(フェイスシート)、契約書、介護計画書、機能訓練計画、サービス担当者会議、会議録、日々の介護記録、提供票、モニタリング、3ヶ月に1度の介護計画の評価及び見直し、レセプト業務…。それらの業務を簡素化することで、人手を増やす必要が無くなるのでは、なかろうか。
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